1)モデルの作り方はチュートリアルを参照してください。ここでは以下のモデルを作成・使用します。
幅(W)30o×高さ(H)20o×厚み(D)2o: 体積Vは V=0.03×0.02×0.002 体積V=1.2×10
-6 (m
3)
損失は1Wを均一で与えます。熱負荷では1÷1.2×10
-6=8.33333×10
5(W/m
3)です。
材質:アルミニウム 熱伝導率λ=239、放射率ε=0.3です。 比熱Cp,、比重ρは定常解析のため、必要ありません。
1)Model特性
・Analsis Type→3D、そして、Thermal→Steady Stateを選択(図1)
・グローバルプロパティ→Physicsタブでステファン・ボルツマン定数σを設定(図2)
・Materialsで材料名を選択、Thermalタブで熱伝導率λを設定(図3)
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図1:解析設定 |
図2:グローバル・プロパティでσの設定 |
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図3:材料と熱伝導率λの設定 |
2)Elements特性
・プロパティで材料特性を図3の設定した材料名に設定します。
・Internal Heat Sourceで自己発熱8.33333×10
5(W/m
3)を設定します。
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図4:Elementsのプロパティ設定 |
3)Loads特性
・全要素を選択してConvection→add to selected faces で対流条件を周囲温度と対流熱伝達率Hcとしてカンマ区切りで設定します。
注)対流熱伝達率Hcは詳細には上面と下面は別に与えなければなりませんが、主成分が垂直方向の面なので、今回は、この面の値を全面に与えます。
Hc=2.51×0.56×(ΔT/L)
0.25で、ΔT=50℃、L=0.02を仮定・代入すると、Hc=9.94(W/℃・m
2)です。
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図5:Convection設定 |
図6:対流熱伝達率の設定 |
図7:対流設定 |
・全要素を選択して同じくRadiationを設定します。
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図8:Radiation設定 |
図9:放射率設定 |
図10:放射設定 |
・全要素を選択して、Radiation→add to selected facesで周囲温度と放射率εをカンマ区切りで与えます。
注)よく資料では金属表面は0.1程度とされますが、この値は鏡面、つまり、自分の顔が映る程度に磨きこまれている必要があります。
普通の表面処理の場合は、殆どが0.3前後を示します。
4)計算 & 結果表示
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図11:1回目計算結果 |
図12:2回目計算結果 |
図13:3回目計算結果 |
1要素しかないので全体が同じ温度になります。ΔT=55.4℃でしたので対流熱伝達率Hcを修正します。
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図14:精細化モデルの温度分布 |
ΔTの新しい予測値として、中間値の52.7℃を採り、Hcを再計算すると、10.07になりましたので再計算します。
2回目の結果はΔT=54.9℃で、2点のデータが得られましたので線形補間をし、3回目の値としてΔT=54.5℃を設定します。
Hc=10.28となり、3回目の結果を図13に示します。
差分は0.5℃(0.9%)なので,結果をΔT=54℃として打ち切ります。
このΔT=54℃の妥当性については
熱抵抗回路網法やCFDの検討結果から問題はないと考えられます。
ここでは要素を1要素としていますが、原則的に分割数を増やしても温度は変わりません。
ElementsのRefine Customを用いて要素を□2oに精細化(150要素)した結果を図14に示しますが、色は増えても温度は変わっていません。
本来なら、下部の空気温度と上部の空気温度が変わってくるので高温部が上部へシフトしなければならないのですが、FEMではそこまでは再現できていません。 このことは記憶しておく必要があります・
1要素で動作を確認しておくと、後は細分化しても設定した物性値は引き継がれるので再度設定しなくても済むのは助かります。
対流熱伝達率は電子機器、つまりTa=25〜50℃、ΔT=50℃前後では、ここで計算したように多くは10(W/℃・m
2)前後を示します。初期値として覚えておくとよいでしょう。